脳科学編〜睡眠とひらめき〜
みなさん、こんにちは
『天才のとは一体』というテーマ第一弾
睡眠とひらめきについて書いていきたいと思います
歴史に名を残す天才的な芸術家、小説家、科学者たちがひらめいた瞬間の時を次のように語る逸話が多いです
彼らが眠っている間に見た夢が、偉大な芸術作品や常識を変えてしまうような科学の発見・発明に繋がったという
例えば、名画『記憶の固執』など多くの作品を描いた
スペインの天才画家サルバドール・ダリ(1904〜1989)は夢で見た光景を絵に描いたという
名作『ジキル博士とハイド氏』を書いたイギリスの作家ロバート・ルイス・スティーブンソン(1850〜1894)は、この小説のテーマとなる二重人格の元になる夢を見たという逸話を残す
科学の世界で言えば
ドイツの科学者アウグスト・ケクレ(1829〜1896)は、原子が連なって蛇のように動き、頭の部分が尾の部分に噛み付いた姿を夢に見て、炭素原子6個が6角形状の構造に並ぶベンゼン環を思いついたと言う
睡眠中の記憶が自由自在につながる!?
いったい夢を見ている脳の中ではどのようなことが起きているのでしょうか
私たちが得た様々な記憶(知識)は、大脳の外側の層である大脳皮質に分散して保存される
私たちの大脳皮質には実に沢山の神経細胞があります
神経細胞はつながりあって、幾つものネットワークを形成します
その中の特定のネットワークに電気信号が流れると分散して記憶していた大脳皮質の神経細胞が同時に活動することになり、まとまった一つの記憶として思い出される
私たちが目覚めて活動している時は、その時々で必要なこと以外に注意が向かないよう、必要な脳内の神経ネットワークのみが選ばれ、他の不要な情報は意識にのぼらないように抑制されている
ところが、夢を見る睡眠(レム睡眠)中ではこの抑制が外れ、起きている時に抑制されていた神経細胞もネットワークに組み込まれてくる可能性があると言う
これらの神経細胞の活動によって、目覚めている間はつながり合うことのなかった記憶同士が繋がり、通常では考えつかなかったような記憶の組み合わせが生じて斬新なアイデアがひらめくのではないかと言うことなのである
『眠る前に集中して考えたことは、睡眠中に強い記憶となって保存される』ということが知られている
仮説であるが
天才は非常に集中力があるので、眠る前に集中して考えていたことと他の記憶との間につながりが生まれやすくなるのかもしれない(筑波大学人間系 山本博士)
記憶が様々な組み合わせでつなぎ合わされる現象は天才の脳でも凡人の脳でも起きる.しかし天才は並外れた集中力、興味と努力によって膨大な専門知識や経験、さらには専門外の分野の知識や経験も脳内に貯め込んでいる.
つなぎ合わせの起きる要素が多くある為凡人よりはるかに多くの組み合わせができ、その中で斬新なアイデアも生まれてくる(東京女子医科大学 岩田名誉教授)
トーマス・エジソンの有名な名言
『天才とは99%の努力と1%のひらめき』
という言葉も99%の努力がなければ1%のひらめきもないとのことかもしれません
東京大学大学院薬学系研究科の池谷教授らは、睡眠中に海馬の神経回路 がどのようにクールダウンされるのかを明らかにした.
海馬が学習や記憶に関わっていることは古くから知られてる
しかし、神経細胞の数には 限りがあるため、そのままでは脳内が記憶情報で飽和してしまいまう.
そのため何らかの「クー ルダウン」の機構が海馬に備わっていると長らく予想されていた.
研究グループは、海馬か ら発生する「sharp wave ripple(以下、SWR)」という脳波が、睡眠中にシナプスの繋がり度合 いを弱めていることを突き止めた.
この現象は、眠る直前に学習した情報をコードするニュ ーロン群では生じなかった.
つまり SWR は、必要な情報を確保しながら、不要なシナプス を弱めることで、記憶キャパシティを確保することが明らかになった.
また、睡眠中の SWR を阻害するだけで、睡眠不足の状態を十分に再現できることから、睡眠の目的の一つは「SWR を出して回路をクールダウンするため」であると言える.”