天才の脳〜アインシュタインの脳〜
みなさん、お久しぶりです
最近は忙しくなかなか更新ができませんでした・・・・
本日よりしっかりと更新していくのでどうか暖かく見守って頂ければと思います
では前回の天才の脳〜睡眠編〜に引き続き、天才の脳を脳科学的に考察して行こうと思います
天才の代名詞アルバート・アインシュタイン
ドイツ生まれの物理学者、『特殊相対性理論』『一般相対性理論』をはじめ、数々の革新的な物理の理論を発表しました。
そして、1921年に『光量子の理論』でノーベル物理学賞を受賞
余談ではありますが、アインシュタインはかなりの女好きだったみたいです・・・笑
彼は絶世の美女マリリンモンローに告白したという逸話も
その時の内容は『僕の天才的なの頭脳と君の美貌が合わさったらさぞ素敵な子供が生まれるだろう』と告白したみたいですが・・・
『その逆の子が生まれれば困るので』とフラれたみたいです
と余談はここまでにして本題へ
1955年にアインシュタインが亡くなったとき、その死体を前にした解剖担当医、トマス・ハーヴィーは、脳を取り出して重さを計りました
それは平均的な脳よりやや軽かったといいます
予想に反した結果に納得がいかず、彼はその脳を元に戻さず盗み出しました
盗み出したことが病院に見つかり、ハーヴィーは解雇されました
しかし近親者の許しを得た彼は、アインシュタインの脳を家に持ち帰りました
そして彼の資産となり2010年に健康・医学国立博物館に寄付され、管理がなされていています
アインシュタインの脳は様々な角度から写真を撮られ、その後細かく切り分けられて、数百もの標本が作られました
これまでに、これらの標本を組織学的に分析した論文は数々発表されてきました
そして2013年には脳の写真から、彼の脳の構造を詳しく調べた研究結果がイギリスの神経科学雑誌『Brain』に報告されました
大脳皮質はしわが多い
アインシュタインを解剖した時の記録によると、取り出された脳の重さは同年齢の男性の平均的な重さと同じくらいで、むしろ軽かったのです
しかし、構造にはいくつかの大きな特徴があったと言います
ヒトの脳の表面(大脳皮質)を見ていくと、いくつもの”しわ”が刻まれていることがわかります
しわの多い領域は、その分表面積が大きいと脳科学では考えられています
脳の表面で、前方に位置する領域は『前頭葉』と呼ばれます
(赤い部分)
そして、この前頭葉の中の前部に位置する『前頭前野』という領域は、何かを計画したり、推理したりと言った思考に関与する領域です
また前頭葉は理性を司る領域として知られており、ヒトではそれが一番発達しています
犬では7%・猿10%・ヒトでは30%も脳をしめると言われています
前頭葉が感情コントロール(理性)を司ることを証明する有名な事件がありました
1848年9月13日にアメリカのヴァーモント州キャベンディッシュの郊外で脳科学の歴史を変えるほどのある事件が起きました
鉄道工事の現場監督であるフィネアス・ゲイジ(Phineas Gage)事故に遭遇してしまったのです
爆風に飛ばされた長い30cmもの鉄の棒が、彼の前頭部を貫通したのです
彼は奇跡的に緊急手術により一命をとりとめましたが前頭葉の先端部分である前頭前野を失いました
驚くことにゲイジにはこれといった機能障害が見られませんでした
麻痺も感覚障害もなく、普通の人と全く変わらない『正常な人』だったと言います
ただ、性格だけが一変したのです・・・・
責任感の強い優秀な働き手で有名であったゲイジはもはや存在せず、代わりに、卑怯・自己中心的・すぐにキレ・そのくせいざとなるとうじうじして決断できない・悪意に満ちた・どうしようもない人間が出来上がったのです
ヒトという生物は『発達した前頭前野を獲得した哺乳類』とされていますが、ゲイジは前頭前野の役割を教えてくれました
アインシュタインの脳ではこの前頭前野にしわが多く、通常のヒトよりも表面積が大きいと考えられました
しわによって大きくなった前頭前野は彼の天才的なひらめきに貢献していたのではないかと考えられています
(出典”The images of Einstein’s brain are published in Falk, Lepore & Noe 2012”写真引用)
脳梁が厚い
脳の表面だけではなく、脳内を撮影した写真からも際立った特徴が発見された
私たちの大脳は、左脳と右脳に別れておりそれぞれ得意とする機能が異なります
(機能については後々)
これら左右の脳は2億以上もの神経細胞から線維の束『脳梁』でつながっていて情報のやりとりが行われている
アインシュタインの脳梁と、彼がなくなった年齢と同世代の健康な男性15人、若い世代の男性52人の脳梁を比べた結果、アインシュタインの脳梁はほとんどの部位で厚いことが判明しました
脳梁が厚いということは脳梁を通る神経線維の数が多く、左右の脳の繋がりも強いことを示しています
(出典”Published online 2013”写真引用)
これらの結果からアインシュタインの天才的なひらめきには大きな前頭前野や厚い脳梁が関わっていたのかもしれないと考えられています
しかし全ての天才に当てはまるとは言えないでしょう